Gum

3章「ローズヒップ」

3節「魑魅妄想」


私は自分の部屋のベットで眠れずに天井を見つめている。

パソコンデスクの上には食後に宮永里奈がくれたローズヒップ味のガムが置かれている。

宮永里奈は「叱ってくれるということは自分のことを考えているということなので嬉しかった」と言っていた。

最近の若い女の子はよくわかんない。
ただでさえ女性という生き物がわからない私にはさっぱりだ。

終いには「これからも宜しくお願いします」で、
まるで私に好意があるようにさえ思えた。

鈴木舞もよくわからない。

やはり、懐いていると言うよりも私に好意があるように思える。

鈴木舞といい宮永里奈といいよくわからなさすぎる。

自分に好意をもってくれているのではないかと思ってしまう自分が、
調子に乗っているようで気持ちが悪い。

現実は昼のドラマのように都合良くないことくらい理解しているつもりだ。

私は魑魅魍魎(ちみもうりょう)ならぬ魑魅妄想(ちみもうそう)に取り憑かれたのだろうか?

はっきりさせたい思いもあるが単純に自分の勘違いのような気もする。

今晩はどうにも眠れなさそうだ。

人間とはこうも敏感で単純な生き物なのだろうか。