私は毎週月曜日は近所の食堂で夕飯を食べることにしている。 この店も昔からこの田舎町にある古びた食堂だ。 「カツ定食でお願いします」 こんなに月曜日から精神的に疲労していたのでは1週間もたない。 せめて気分だけでもスタミナをつけよう。 私はそんなことをぼんやりと思いながら新聞を開いて眺めていた。 「あの・・・吉野さん?」 私は新聞を置いて声の方に視線を向ける、 そこには宮永里奈がいた。 「あ、ぁぁあ・・・・・」 私は驚いて上手く返事も挨拶もすることが出来ない。 「ここによく来るんですか?」 「う、うん」 ようやく発することが出来た言葉が『うん』というのも情けない話だが、 それくらいに私は激しく動揺していたのだ。 「隣、いいですか?」 「あ、どうぞ、どうぞ・・・」 宮永里奈は私の席の隣に座った。 といってもカウンター席でお客が私しかいなかったので必然的にどこに座っても隣になるのだが。 この前のことがあるだけに何をどう話して良いか私は悩んでいた。 それはものの数秒なのか数分なのかわからないが私には数時間に感じた。 すると突然、宮永里奈は私に頭を深々と下げた。 「この前はすみませんでした」 宮永里奈は私に謝ってきたのだ。 「いや、私の方こそ・・・いや、あの・・・すまなかった・・・です」 先に年下の女の子に謝罪の言葉を言われるとは・・・ますます自分が情けなくなってきた。 「私、実は・・・少し喋っても良いですか?」 宮永里奈は何か話したい様子だ。 「あぁ、いいよ」 「私、実はあまり叱られた事って無くて・・・」 「いや、本当にすまなかった。何度でも謝るよ」 「いえ、そうじゃなくて嬉しかったんです」 |