Gum

3章「ローズヒップ」

1節「後悔先に立たず」


あの悪夢の『歓迎会』から3日経って月曜日になった。

休日に何度も私はあの出来事を後悔した。

<どうして大人としての社会人としての応対ができなかったのだろうか?>
<なぜフォローの言葉が浮かばなかったのか?>

そして、それよりも鈴木舞だけにあの出来事を見られたこと・・・

『後悔先に立たず』

頭では理解していても情けないことに後悔してしまう自分がいる。

何をどうしても過ぎ去った事を変えることはできない。

なんて憂鬱な月曜日なのだろうか。

職場に着いていつもの業務が始まる。
これで私の憂鬱な気持ちも少しずつ薄くなるはずだ。

はずなのだが・・・ならない。
というか、憂鬱な気持ちとは違う新たな疑問が私の中に生まれた。

妙に鈴木舞が私に懐いてくるのだ。
懐いてくるというと語弊があるかも知れないがそんな感じなのだ。

誰にも私が教育係と言われていないのに、やたらと業務のことを聞いてくる。

それだけで「懐いている」と表現するにはおかしいこともわかっているのだが、
なんだか様子が変なのだ。

心底私を尊敬しているような素振りを見せたりするし、
まるで・・・・・いや、これは勘違いだ。

私は何だかわけがわからなくなってきた。

宮永里奈に失礼な態度をとって泣かしそうになったところを見られているので、
私が鈴木舞に弱みを握られている感じがしてビクついているだけなのだろうか?