どうにかなるだろうと安易に思っていたが「捜索」は容易ではなかった。 頼み込んでも教えてくれなかったのが2件(僕らが怪しまれたのか?)、 残りの3件には『彼女』は宿泊していなかった。 その足で炎天下の中、近くのホテル・旅館を当たってみたけどみつからなかった。 小説や漫画みたいに上手くはいかない。 僕らは疲れて浜辺に車を停めて沈む太陽を見ている。 片手には今にも溶けそうなアイスクリーム。 「なかなか上手いこといかないね」 キノシタは運転の疲れもあるので僕以上に疲れている様子だ。 「そうだなぁ・・・・・」 『彼女』もここでこんな夕焼けを見たのかな? 「どうしよっか?」キノシタはハンドルを握ったまま僕に尋ねる。 「どっか安そうな旅館でも探して1泊しようか?」 助手席乗っているだけとはいえ、僕も『彼女』の捜索に疲れた。 「そうだね、そうしよう。あんまりお金持ってきてないから安いとこ探そうか」 キノシタはミニクーパーのエンジンをかけた。 ゆっくりと海岸沿いの道を走る。 なんだか世界の果てに来た気分で、今にも僕らは車ごと消えてしまいそうな気がした。 僕は『彼女』がキノシタ・男・女に分けて送った歌詞を繋げたものを見た。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ [夏のぬけがら] 焼けた砂浜を1人歩いてる 焼けた砂浜が何度も尋ねてる 燃えているのは太陽なのかな? 終わらない夏はどこにあるのか? 波はここまでは届かない 君はどこにいるのかワカラナイ 僕はどこにいるのかワカラナイ 景色は後ろに流れているのかな? 僕だけ前に流されているのかな? 暑さのせいで眠れない いつだってここにいたいから いつだって何処にも行かないよ 君を待っているから 僕は待っているから それだけは暑さのせいじゃないんだよ 君を待っているから 僕は待っているから ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 僕らはここにいて君を迎えに来たんだよ。 |