6時間目の数学の授業終了を知らせるチャイムが鳴ると同時に、 僕は急いで教室を出て階段を駆け降りた。 公園まであと少し。 別に待ち合わせの時間に遅れてるわけでもないのに、 僕は息を切らして走っていた。 案の定、キャシーはまだ着いていなかった。 僕は公園の噴水近くのベンチに座り彼女を待った。 幾度と無くここでキャシーと夢を語ったり、 大きなソフトクリームを食べたり、 一緒に大好きなカントリーソングを歌ったり。 そんな一つ一つの小さな思い出を思い出していた。 「ヘンゼル〜」 しばらくして僕を呼ぶキャシーの声が聞こえた。 キャシー、僕は君と一緒に時間を共有するために生まれてきたのかもしれないよ。 「ヘンゼル、待った?」 「いや、全然待ってないよ。今着いたとこだよ、キャシー。 僕は脇にかいた汗をキャシーに気付かれないか、 それだけが不安だったんだ。 |