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真夏にプリン

1章「彼女が死んだ」

(1)「彼女が死んだ」


『彼女が死んだ』

僕がこの6文字の短いメールを見たのは朝6時だった。
そして、この6文字のメールで僕の長くて短い夏休みは始まることになる。

僕がこのメールを受信したのは彼女の部屋のベットの中。

まだ隣で眠っている彼女とはまだ付き合って3ヶ月。

彼女はまだ眠っていたが、
僕はこのメールで目が覚めて慌てて自分の部屋に帰る支度をしている。

彼女は「どうしたの?」なんて寝ぼけた顔で僕に聞いてくるが、
僕もメールのまんま「彼女が死んだ」としか答えることもできないし、
メールに返信して詳しいことを聞くことさえ思いつかないでいる。

僕は混乱していた。

この『彼女』というのは付合っている彼女ではない。
正確には友達でさえもない。

僕が1ヶ月前に入ったばかりのバンドのヴォーカルの女の子で、
メールをくれたのはそのバンドに僕より2日遅れて入ったベースの1歳年下の男からだった。

週2回・3時間くらいの練習なので『彼女』と会ったのなんて数えられる程度。
『彼女』を含めた他のメンバーとは練習の後にどこか飲みに行ったりしたこともない。

それでも「死」に直面したことのない僕を混乱させるのに十分な材料だった。

僕は彼女の部屋を出て駅までの道を走っている。

とにかく自分の部屋に戻ろう。
それから・・・・・それからどうすればいいんだ?

朝6時だというのに日差しが強くて今日も暑くなりそうだ。

草むらに落ちているコーラの空缶。

僕の、僕らの夏休みが始まった。