Gum

1章「ミント」

2節「歓迎会という名の無駄」


毎年『歓迎会』は町で数件しかない飲食店の2階を借り切って行われる。

ここは料理が美味しいという評判なのだが、
他の町で食事をしたことのない私にとっては比較対象がないので何とも言えない。

私は隅の席に座って静かにこの時間をやり過ごそうと思っていたのだが、
今年からくじ引きで席を決めるらしくて私は新入生の隣の中央の席になってしまった。

これでは職場の先輩として新入生の相手をしなくてはいけないではないか。

自分もかつてはそうだったが、
先輩面して偉そうに話をするやつの話は面白くもなんともないが適当に相槌を打って聞かなくてはならない。

その時は絶対こんな奴にはならないでいようと思ったが、
まさか自分がそうなるなんて・・・・・残念でしょうがない。

もしかして、あの時の職場の先輩も同じ気持ちだったのだろうか?
いや、そんなことはない。
そこまで頭が回る男ではない。

なるべく最低限に接するようにしよう。

貴重な時間を無駄にする上にこんなに頭を悩ますなんて、
今日は無駄の最上級だな。

私は2階の宴会場へと階段を上った。