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Gum

1章「ミント」

1節「私という人間の略歴」


私は小さな田舎町の役場に勤めている。

この小さな田舎町で産まれた私はここから出たことがない。
小・中・高とこの田舎町で過ごして今もここにいる。

それは意図的に出ないわけではない。
この田舎町に特別な愛着心や郷土愛を持っているわけじゃない。

単なる偶然の積み重ねだ。

学生時代から修学旅行・遠足などの行事の前の日になると必ず私は熱を出してしまうのだ。
(両親からは興奮するからだと言われて心外なのだが)

そんなことが続いたので進路を決めるときもここから出ようとは思わなかったのだ。

幸いなことに今は私の欲しい書籍等もネットで簡単に買うことができるので不便も感じていない。
私にとって都会の魅力とは欲しい物がすぐに手に入るということぐらいだ。

汚染された空気、人工的な自然、人混みの中の汚臭、犯罪率・事故率などマイナスなイメージの方が圧倒的に多い。

でも、そんなことを他人に言うと「君はほんとにこの町が好きなんだね」などと言われかねないので口にはしない。
それとこれとはまったくの別問題だ。

本当に何も考えない人間が多くて困ってしまう。

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役場の仕事は毎日決まった内容をこなすだけの単調なものだ。
私の技量とは相等しいものとは言えない退屈な仕事だが毎日決まった時間に始まって終わるので満足している。

規則正しい時間で生活できることは人間にとって何よりも精神面でも身体面でも健康的で素晴らしいことだ。

私は決まった時間に家に帰って食事をとり、
好きな書籍を読んだりニュースを観たりといった趣味の時間が私を癒してくれる。

世界で起こる様々な出来事に対して私なりの考えがまとまったところで眠る。

それが私の1日。

私はこの暮らしが少しでも長く続くことを心から望んでいる。

<そう言えば明日は歓迎会か・・・・・適当に早く切り上げて家に帰ろう>

私は職場の飲み会や集まりが苦手だ。
上司の陰口や安っぽい郷土愛、下世話な恋愛話など低レベルな話題の連続で疲労してしまう。

だが社会人として明日の『歓迎会』と年度末の『送別会』だけはいつも出席している。

貴重な時間を年に2回も潰すのは苦痛だが社会人としての常識が問われるよりは幾分はマシだろう。

私は早めに床についた。