【16:00〜17:30】〜T町の病院 出張先でもあり宿泊先でもある田舎町の病院に運ばれる。 ベットに寝かされるまでは早かったが全然医者も看護士も熱を測ったっきりやって来ない。 この時点で熱は38度8分まで上昇していた。 田舎町だし医者が少ないんだろうと自分を納得させるが、 カーテン越しに聞こえる看護士と受付の男の会話に憤慨する。 看護士(女)「〜さん、ここに虫がいるからとってぇ〜」 受付(男)「しょうがないなぁ、(新聞紙で)パン!」 看護士(女)「あとちょっとで今日も終わりだねぇ」 受付(男)「うん、もうっちょっとで帰れるね、(新聞紙で)パン!」 くだらない会話を患者に聞こえるように話すことも問題だし、 これだけ熱があるのに濡れたタオルや氷枕も持っこないのも問題である。 僕がにしおかすみこだったら「このブタ野郎!」と怒鳴ってムチを振り回すところだが、 にしおかすみこでない上にかなりグロッキーな状態であるのでここは歯を食いしばり我慢するしかない。 これが田舎の病院の現状であり「Dr.コトー」の世界は幻想なのかとか熱い頭でぼんやり考えていた。 そして、しばらくして医者の診断がようやくスタート。 これまでの状況をこの病院での怒りを抑えて説明。 どうせ点滴打って終わりなんだから早く打って楽にしてくれよと思っていたが、やたらとお腹をさわる。 しだいに医者の顔も曇っていき沈黙が続く・・・・・ 「どうもお腹がおかしいですね。ここでは検査の器具がないのでE市の病院へ転院するための紹介状を書きます」 やっと開いた第一声がこれなので僕は焦ってしまった。 「お腹がどうおかしいんですか?」 「いや、今ははっきりとは言えないんだけど動きが・・・・・おかしい」 その後、医者は紹介状を書きながら僕に色々と質問したが何と答えたのか憶えていない。 さらには看護士に「じゃあE市の病院に行くのにタクシーを呼んで下さい」と言ったところ、 「タクシーなんてとんでもない、救急車の手配がついたので救急車で向かいますよ!」と言われ愕然とする。 「き、救急車? お、オレが????」 それから少しして救急車がサイレンの大きな音を鳴らしながら到着した。 ここでこの日1番、いや、ここ何年かで1番腹の立つ出来事が起こる。 救急隊が僕の横たわっているベットの隣にタンカをセットして、 さぁ出発というところで先程の受付の男が僕の所に来て一言。 「あの、お金まだ払ってもらってませんよね?」 「は?」 「いや、お金まだ払ってもらってませんよね?」 「ここから歩いてもすぐの○○というところに泊まっていますので後で払いに来ますよ」 「いや、それじゃ困るんですが・・・」 「・・・・・」 さすがに普段は温厚な自分もキレた。 「ちょっと待て!」 呆気にとられる救急隊にそう言って重たい体を起こした僕は、 受付の男に財布を投げつけて「そこからいる分だけとれ!」と言った。 今まで払う瞬間は幾らでもあっただろうし、 救急車も来ているこの状況で支払いなんてどう考えても後でも良いと思う。 これが健康な状態だったら(健康な状態だったらここに来ていないけど)殴ってしまったのかもしれない。 |